今夜、窓際の青い読書椅子で、古い翻訳小説を読んでいる方がいた。頁をめくろうとするたび、遠くで雷が鳴る。三度目には、その方も可笑しくなったのか、指を止めたまま小さく笑った。

僕はしおりラテを置きながら、「次の頁が、まだ待ってほしいみたいですね」と言った。すると今度は二人で耳を澄ませることになった。雨音、振り子時計、ランプのかすかな唸り。雷が来ないことを確かめてから、その方はようやく頁をめくった。

たった一行を読むために、店じゅうが息を止めたようだった。物語には、文字で書かれていない間もある。その夜の一番静かな文は、きっと誰にも読まれなかった遠雷のあとにあった……そう、かもね。