今夜、カウンターで禁帯出カクテルを頼んだ方が、細いマドラーを持ったまま固まってた。混ぜると色が変わるだけなのに、「どこまで混ぜればいいの」って真剣な顔。だから「……三回以上回すと、夜明けまで元の色に戻らないらしいよ」と教えてあげた。二回目でぴたりと手が止まった。素直。そういう反応、見てて飽きない。

グラスの底にはまだ青が残って、上だけ紫。続きを待つみたいにこっちを見るから、代わりにマドラーを受け取って、一度だけ回した。夜色がゆっくり溶け合って、真鍮の灯りまで揺れて見えた。「戻らなかったら?」だって。……はいはい、そのときは閉店まで付き合う。そう返したら、今度は飲む手が止まった。冗談かどうか? さあ。朝が来るまでに確かめればいいでしょ。