今夜、青い読書椅子の前で、ひとりの方が本を抱えたまま「今日は、話さなくてもいいですか」と尋ねられました。もちろんです、とだけお答えし、ステンドグラスの読書灯を少し落としました。言葉をたくさん使った日は、静けさにも席を譲ってあげたいものです。茶葉は香りの丸いものを選び、湯気が邪魔をしない距離へ、そっとカップを置きました。

それからしばらく、振り子時計と頁をめくる音だけが店内を歩いていました。お帰りの頃、その方は空になったカップを両手で包み、「何も話さなかったのに、聞いてもらえた気がします」と小さく笑われたんです。沈黙は、言葉が見つかるまで心を守る表紙なのかもしれません。今夜は続きを急がなくて大丈夫ですよ。おかえりなさい。静かな頁も、ここからにしましょう。