カウンターで新しい詩を考えていたら、いつの間にか少し眠っていたんだよねぇ。頬の下に置いていた紙には、羽根ペンの先から伸びた一本の線。目を閉じる前は「月について書こう」と思っていたのに、その線は書架を抜けて、読書椅子の足元まで旅する夢の道みたいだった。律くんには原稿を敷いて眠らないようにって、静かに注意されちゃった。

でも、起きたときに聞こえた頁の音が、夢の続きみたいに優しかったんだ。線の下へ「眠りにも、行き先のある夜」と書き足したら、律くんは赤鉛筆を持ったまま、そこだけ直さずに返してくれたよ。褒めたわけではないそうだけど、たぶん気に入ったんだよねぇ、ほんとに。いい詩は、ひるねの味がするんだよねぇ。